石川研究室

長津田・大学院5号館 201号室・内線5504


大自然の中で「科学」をしてみませんか?

研究室の方針

 従来の工学技術者はモノを作る人達でした。しかし、工業や工事が環境に重大な影響を及ぼすにつれ、新しいタイプの技術者が必要とされています。それは、自然・社会環境に発生する様々の現象のつながりを解き明かしていく技術者(一種の「暗号解読の技術者」)です。彼らは、今後世界的に拡大する環境アセスメントにおいて、中心的役割を果たしていくことでしょう。

 環境アセスメントは、一般科学知識やコンピュータワークだけでできるものではありません。対象フィールドにおける様々の現象のつながりを具体的に解き明かしていくためには、実際の環境に触れた経験がものをいうのです。

 そこで本研究室では、各地に現地観測サイトを設け、全ての学生が、そこに生じる現象を探査・解析し、研究論文を組み立てていきます。現在用意している研究フィールドは以下の6カ所です。

    小川原湖及び高瀬川(青森県)、北上川感潮部(宮城県)、七ヶ宿貯水池(宮城県)、
    霞ヶ浦(茨城県)、利根川河口堰下流部(千葉県・茨城県)、和泉川(神奈川県)

 現地計測は基本的には室内実験と似ています。しかし、相手が自然現象なので必ずしも予定通りにいかないこと、失敗するとやり直しのきかないこと、非常に広い空間を相手にすること、水域管理者や漁師さんなどと仲良くする社会性が必要なこと等、違った面もあります。現地観測の作業は概して室内実験より大変ですが、しかし終わってから温泉に入って一杯やるといった楽しみがあります。

流体運動と環境現象を結び付ける

 自然水域の環境現象(例えば水質の変化や生物相の遷移など)は、流体運動の影響を強く受けています。河川や海はもとより湖でも、水は絶えず複雑に流動しています。その流れに乗って様々な物質や微少生物が輸送され"出会う"ことによって、色々な化学反応や生物反応が生じるのです。

 私の研究室は、もともと土木工学の中の水理学(流体力学)が専門で、自然水域の環境現象に関連する様々な流体現象を研究しています。また、流体運動だけを取り扱っていても面白くないので、別の分野の教官と共同しながら、水質や生物に関わる研究をはじめています。末尾の論文リストの3、4、5などがそうです。

利根川下流部分における流速,

塩分,溶存酸素濃度の縦断観測の結果.

下層塩水が貧酸素化し上方に移動している.

河口堰下流部における貧酸素水塊の発生と流動

 利根川河口堰は河口から18km入った地点に建 設されている。その下流部では河川水と海水が 安定した二層状態を形成するため鉛直混合が乏 しく、上方からの酸素の供給が不足する。一方 川底ではヘドロに含まれる有機物の分解により 酸素が消費されるので、下層塩水は貧酸素化す る。この貧酸素水塊が上方に輸送されるとシジ ミ等の生物が影響を受ける。

 右図は、流速(上段)、塩分(中段)、溶存酸素 (下段)の縦断分布観測の結果である。下層塩水 が貧酸素化し上方に移動していることがわかる。

最近の発表論文

  1. 小川原湖に発生する傾斜プルームの現地観測と連行係数の推算:土木学会論文集、No.579,1997.11.
  2. 霞ヶ浦高浜入りおける日成層形成時の湾水交換の数値シミュレーション:海岸工学論文集、Vol.44, 1997.11.
  3. 七ヶ宿貯水池における春季プランクトンブルームの時空間分布特性:水環境学会誌、Vol.21, No.1, 1998.1.
  4. 殻脈を利用した小川原湖のヤマトシジミの成長速度推定:水工学論文集、Vol.42, 1998.2.
  5. 利根川河口堰下流部における嫌気水塊の運動について:水工学論文集、Vol.42, 1998.2.
  6. 雨滴音と雨粒諸元の関係に関する可視化実験:可視化情報学会誌、Vol.18, No.69, 1998.4.
  7. 鉛直不飽和浸透流計算における飽和域・不飽和域の接合に関する数学的処理について:土木学会論文集、No.585, 1998.5.
  8. kーεモデルによるDI型連行現象の再現性について:土木学会論文集、No.585, 1998.5.

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最終更新日:2006年4月13日
作成者: www-admin depe.titech.ac.jp